2024年7月31日、日銀総裁が政策金利を0.25%に引き上げました。これは経済の安定とインフレ対策を目的としていますが、その影響もあり8月2日の日経平均が大幅な下落となりました。
この「政策金利」というものの考え方は、子育てにも活かせるところがあると私は感じています。以下の記事では「金利」と「為替相場」についての簡潔な説明と、その考え方がどう子育てに活かせるのかをまとめています。
最初はわが家のささいなエピソードから話が始まりますが、できればお付き合いください。
ある日のわが家の入浴時間
長男7歳がウエットティッシュを一枚持って風呂場に入ってきた。
「それ、どうするの?」と聞くと得意満面の笑顔で「見てて」言って、ウェットティッシュをお風呂のお湯で濡らし、それを壁に叩きつけた。ウエットティッシュは壁にペタッと貼りつく。それを見て「おっ!」と声を漏らしてしまう私。「ちょっとパパにもやらせて」と息子からウェットティッシュを借り、たっぷりとお湯を含ませて壁に投げつけてみた。気持ちがいい。この感覚は吸盤が付いたおもちゃの感覚だ。投げたものが壁に貼りつくだけなのに、なんでこんなにも楽しく感じるのだろうか。
それを見ていた次男3歳も、もちろんやりたがる。この遊びの秀逸なところは3歳の不器用さでも十分楽しめるところだ。ウェットティッシュは濡れることに耐性があるらしく、何度投げつけても破れることがない。誰かに聞いてきたのか?自分で発見したのか?わからないが、長男は家の中でこういった新しい遊びを発明することがよくある。
「子どもは遊びの天才」というが、家族で過ごしているとその言葉に納得させられてしまうし、その反面で迷惑に思うこともなくはない。
調子に乗る子どもたち
すると長男が「もっとティッシュを増やしたい!」と言って、風呂場を抜け出し、また4枚のウェットティッシュを持ってきた。ちゃんと弟の分も持ってくる。兄がやるなら弟も。その逆もしかり。それがわが家の暗黙のルールとなっている。
気が付くと計6枚のウェットティッシュが湯船に浮かんでいる状態に。さすがにここまでくるとパパの眉が吊り上がってくる。しまいには壁ではなく、兄弟同士でウェットティッシュを投げつけ合うようになってきた。力の差があるので次男は無勢となり、わざとではない投球、ならぬ「投ティッシュ」は弟の目に当たり、大泣き。その攻防をすし詰め状態の湯船で見せられているパパもイライラしてくる。
調子に乗る長男、大泣きの次男、そろそろ親として「お叱り」を発動させるべきか…。
最近の日本の物価高の理由
話は変わるが、ここ数年、日本では物価高が騒がれている。
マクドナルドが毎年のように少しずつ値段を上げてくるのが一例。80円でハンバーガーが変えていた時代が懐かしい。
なぜ物価高になっているかというと、円安が一つの要因になっている。円の価値が下がっているので、以前よりも輸入に費用がかかっている。
では、なぜ円安になってしまったのかというと、理由の一つに「日本の金利が安い」ということが挙げられる。もう少し具体的に言うと、日本銀行がかなり低い利子でお金の貸し借りをしているということだ。そのおかげで商売をするときの借り入れや家を購入するときのローンが安い利子で受けられる。逆を言えば、銀行に貯金をしていても、ほとんど利子がもらえない。
「それなら日本の銀行に預けるよりアメリカの銀行に預けておいた方がたくさん利子をもらえるよね」となるわけだ。
2024年8月現在、アメリカの金利は5%ほど。今だったら日本の銀行に預けておくよりも4%以上高い利子がもらえる可能性がある。だから「円を売ってドルを買おう」という流れになり、円安になるという仕組みだ。
もちろん他にも様々な要因で為替レートは決まるし、素人の説明なので正しくない部分もあるだろうが、イメージとしては大筋そんな感じだ。
インフレを抑制したいアメリカ
では、なぜアメリカの金利が高いかというと、それはアメリカで過剰にインフレが進んできたことが原因。よくある例として「海外はラーメン一杯3000円」などという話を聞くが、アメリカの人たちも過剰なインフレには困っている。だから金利を上げることでインフレを抑制しようとしているのだ。
考えてみると、金利が高いということは良いこととは言えない。だって、利子が高かったらお金を借りにくい。ということは、人の購買力が減り、投資をしようという企業が減る。消費が減れば、モノの値段も上がりにくくなる(欲しがる人が少ないのに値段を上げることはできないよね)
つまり、金利を上げ過ぎるということは不景気の要因になりかねなのだ。
今のアメリカはそういったリスクを考慮しつつも、インフレを抑制したいと考えているわけだ。
金利は景気や物価をコントロールすることに使われているというわけだ。
わが子にどのような声かけをするべきか
話をわが家のお風呂場に戻す。
「コラァァア!」というのは簡単なのだが、「本当にそれでいいのか?」と親として立ち止まる。バシッと言えば現状の子どもたちの気持ちのインフレは抑えられるが、入浴後は長男と学校の宿題をやらなくてはならない。対応方法によっては長男の気持ちが不景気入りしてしまうかもしれない。それはそれでやっかいだ。どのくらいの声かけをするべきだろうかと自分の中で熟考する。
「一回ストップ!次男君の顔にティッシュが当たってるよ!」
「わざとじゃないもん…」と長男。
「わかった。わざとではないんだね。でもいったん落ち着こう。」
ということでブレイクダウン。次男は泣いていたが長男が謝ったらすぐに泣き止むことができた。
アメリカの金利の上げ方
ここでまた経済の話。
アメリカの金利はFOMC(連邦公開市場委員会)というところで決めている。現在のアメリカの金利は5.25~5.5%(2024年8月現在)。この数値はかなり金利が高い状態なのだが、それだけアメリカのインフレが過剰になっているということの表れだ。
金利は6週間ごとにFOMCの会合で話し合われ、その度に少しずつ変動させ、この数値まで登ってきた。いきなり急激な利上げを行ってしまっては、大きな混乱が起こってしまう。車でも急ブレーキをかければそれだけ反動を感じるものだ。そうやって少しずつ「金利を上げるかもよ」とメッセージを出し、実際に上げるときも0.25%刻みで少しずつ上昇させていく。(とは言っても、最近の急激なインフレに対してはかなり急ピッチで対応したのは事実のようだ。)
金利政策から考える、親の声かけ
ここで子育ての話。(話が行ったり来たりをしていて申し訳ない)
大事なことは子どもに対して「どれくらいのプレッシャーをかけるか」ということだ。親ならば子どもを叱ることは当然ある。そういった事態に対して子どもにどのような声かけや叱り方をするか、その濃度の使い分けがポイントだと私は考えている。
金利が高すぎては子どもが委縮し過ぎてしまうし、金利が低すぎても子どもが調子に乗りすぎてしまう。子どもが調子に乗り過ぎてしまうことほど、危ないことはない。子どもたちが大けがをするときはだいたい興奮して羽目を外しているときなのだから。
子どもたちにとって最高の環境とは
この日のお風呂での出来事は、子どもたちのインフレする気持ちにちょうど良い温度感でブレーキをかけることができたのではないか、と個人的には思っている。その後の長男の宿題も就寝前に終わらせることができた。
どういった声かけを行うかはその時々で変わるだろうが、わが家はパパは金利が低すぎ、ママは金利が高すぎるところがあり…、それでバランスを取っているのかな、と思う。ママに苦労をかけているとも言える…。すまん、ママ。
個人的にはやや金利低めの方が子どもがのびのび育つのではないかと考えているが、躾により子どもが洗練されるということも、もちろん認識している。そのバランスをどうとるか。
子どもたちにとっての最高の環境は「いつでも親の機嫌が良い」ことだ。
声かけの濃度は親子を守るための考え方とも言える。自分(親)の機嫌を保つためにもちょうどよい雰囲気を作っていくことが大事だろう。