幼児教育の仕事をしていて、保護者の方から質問が多いものの一つは、「どのように漢字の練習をしたらよいでしょうか?」というものがあります。小学校に入りたてだと漢字どころかカタカナも練習したことがない、そういったお子様も少なくありません。本日は小学校1年生の子どもたちがカタカナ・漢字をどのように練習するのか、ということについてお話しいたします。
小学1年生 1学期の漢字練習について
「うちの子は漢字を全く練習したことがないのですが、どうしたらよいでしょうか?」
とよくご質問をいただきます。小学1年生になって学校の雰囲気にも慣れた5、6月頃、「そろそろわが子も漢字の練習をしなくてはいけないのかな」と感じる保護者の方が多いようです。基本的に公立小学校では漢字の練習を夏休みが明ける9月から始めるところが多いようです。(学校・担任の先生の方針によります。)「まだうちの子は漢字が書けない」とご心配されている保護者の方も、それが7月までであれば周りの子より遅れているということはありませんので、それほど心配しすぎる必要はありません。
ただ、漢字は先取りしておいて損がないものです。なぜなら暗記ものと呼ばれる分野は、「練習しなければできない。練習すれば必ずできるようになる」ものだからです。この地道な訓練は大人でも好きではない方が多いですよね。最初は苦しい部分もあります。まずは第一歩としての指針になればと思います。
小学1年生 1学期のカタカナの練習について
漢字練習の前にお子様はカタカナが書けますか?公立小学校の小学1年生1学期はカタカナを中心に練習をしています。もしこれを読んでいただいている方が未就学児の保護者の方であれば、年長さんまでにカタカナを「読める」という段階まで持ってこれていれば、小学生になった時に余裕ができます。「6歳までにカタカナが読める」は一つの目標です。もちろん「書ける」までいければ、学習面の心配はかなり減るでしょう。
小学生を教えていて、計算は案外簡単に覚えられます。例えば、たし算であれば「合わせる」という概念を一つ覚えれば、あとは「指を使う」という補助で、すぐにできるようになります。(演算力いわゆるスピードは地道な訓練です。またスピードには個人差もあります。)
しかし、文字は具体的に1文字ずつ暗記しなくてはならないので、覚えるまでにある程度の時間を必要とするのです。すぐに成果が出ないことが保護者の方が焦る要因です。
「カタカナ」を覚える第一歩
カタカナは表音文字(音だけで意味を表さない文字)なので、練習方法としてはまずは音読することから始めましょう。そのようにお伝えすると「アイウエオ、カキクケコ…」と文字だけを見て練習されることをイメージされると思いますが、これはあまり良いとは言えません。カタカナは表音文字なので、子どもは文字だけ見てもイメージするのが難しいのです。
そこでカタカナの音読の際は「アメ、イルカ、ウシ、エンピツ、オカシ」と子どもたちがイメージしやすいものと結び付けて練習することがお勧めてです。お子様の好きなものと絡めて音読をされるとさらに意欲も増すことでしょう。「カタカナのアイウエオ」のような書籍も多数販売されていますので、ご参考いただくのも良いと思います。しかし、書籍を購入しないでも保護者の方が実際に文字を書いて、さらに絵も描いてあげるということもできます。手作りは子どもをやる気にさせるエッセンスの一つです。「文字を書く、絵を描くことに自信がある」という方にはお勧めします。(私は字も絵も自信がないので、わが子に教えるときは書籍を使ってます…)
「漢字」を覚える第一歩
漢字は表語文字(文字自体に意味がある)ものです。そういった点ではイメージしやすいのですが、カタカナと比べると画数が多いものもあり、しり込みしてしまう子もいます。漢字は書く前から心に壁を作ってしまうということがあるのが難しいところです。
漢字については「読めなくてもいいからまず一度書いてみる」ことをお勧めします。子どもたちの心の壁を取り払うためには、とにかくやってみるということです。
私が教室で子どもたちに漢字の指導をしていると、
「書けないよ。だって、まだ学校で習ってないもん!」
と言う子がいます。(その度に「だからそれを今教えているんでしょ!」と私の心の中でツッコミが…)子どもにとって「習ったことがある」ということが一つの基準のようになっている証拠のようなセリフです。
もし漢字を練習をすることに抵抗がある子は「じゃあお母さんが手を持ってあげるから一緒に書いてみよう」ということでも良いと思います。「お母さん(お父さん)が一緒に書いてくれた」という経験が子どもたちにとって「習った(経験した)」ということで消化されます。抵抗がある子は導入に時間をかけるつもりで行ってみてくださいね。
心の壁が緩和できたら、カタカナと同様に最初は読む練習をしてみてください。
文字は読めなければ書けるようになりません。音読することはその下地を作ります。
カタカナ・漢字を「書ける」まで持っていく
カタカナ・漢字を読めるようになったら、いよいよ書く練習を行います。よく漢字の練習として「〇という字を20回書いてくるように」という宿題を出されることがありますが、私個人としては公立が悪い練習だと感じています。何がいけないかというと子どもは同じことを繰り返すことが得意ではないからです。
幼い子どもというものは「今を生きている」のです。先のことを見据えることができるのは、中学生くらいからです。楽しみを見いだせていないことの繰り返しはすぐに飽きてしまいますし、逆に漢字練習が嫌いになってしまう可能性も。もちろん小学一年生が、見るだけで漢字を覚えるというのは難しいです。書く練習は必要なのですが、上記の宿題であれば1文字に20回は多すぎると私は思います。
女の子であればコツコツと練習できる子もいるかもしれませんが、男の子は繰り返すことが苦手な子が多いです。以前、漢字練習をしている子の様子を見ていたとき、「体」という字を「イ、イ、イ、イ、イ…」と書いてから、また上に戻り「本、本、本、本、本…」と書いていました…。これでは本末転倒です。
男の子・女の子の差については以下の記事もぜひ読んでみてください!
【小学生】男の子vs女の子|分野ごとに長所を比べてみました!
「20回書く」という宿題の意図は「1日で覚えなさい」ということではないかと思いますが、暗記ものを1日で覚えるきるというの「1日だけ10キロ走ってマラソンのタイムを縮める」と考えているようなものです。1日で覚えきるのではなく、複数日かけて覚えていくということを念頭に置いておきましょう。
そういった点で1文字練習するのに書くのは3~5回くらいで大丈夫です。その代わりに3回書いたら文字を隠して書けるかどうかその場でテストするとことをお勧めします。もしテストしてみて書けなければ、その日はそれでOKです。印をつけて、また練習することにしましょう。もし次の練習でも書けなければ、またその次の日と繰り返し練習できるようにしておきましょう。
文字の練習はインプット以上にアウトプットが大事なのです。
オススメの練習方法
文字の練習でお勧めなのは親子のやり取りを絡めたものです。例えば「今からお母さんが言った漢字を書けるかクイズね」といって、問題を出してみてください。これは友だち同士でも有効で、やり取りがワクワク感につながります。幼い子を指導する中で、気を付けておきたいことは忍耐に頼る学習にしないことです。「今を生きている」子どもたちにとって、学習面で我慢しすぎるというのはあまり良いことではありません。しつけとして伝えることももちろんありますが、「学習」を「楽しいことである」ということに紐づけていくと高学年になったときのメンタリティーも育てることができます。
ただ、クイズを出すときの注意点があります。それは書けなくて当たり前だということ。子どもが10秒考えて書けなければ、その瞬間はもう書けないということです。保護者の方もイライラしないでいかに楽しい雰囲気で行えるか、これは大事なポイントです。そういった点では親のメンタリティーも試されているのかも。お忙しいときは無理をする必要はありません。保護者の方にゆとりがあるときに楽しんで行ってみてくださいね!
まとめ
本日は小学一年生のカタカナ、漢字学習方法についてまとめました。
カタカナの第一歩:子どもが好きなものに紐づけて音読の練習から始める。
漢字の第一歩:まずは漢字を書いてみる。心の壁を克服する。
文字を書く練習:3回書いて、1回テストを繰り返す。複数日かけて覚えると心得る。
【オススメの練習方法】親子のやり取りを交えて文字の練習を行う。
楽しん雰囲気で行ことが大事です!
親の自分にゆとりがあるときに!(無理をする必要はありません!)
わが子の文字の習得の第一歩は親も不安に思うものですよね。
しかし、カタカナであれば2年生になれば、1年生の漢字であれば3年生なれば、お家で練習をしていなくても書けるようになります。心配をしすぎないことも1つ大事です。「いつかは書けるわよ」と親としての心配な気持ちをコントロールしてくださいね。
文字こそコツコツとした練習が必要なものですが、できるだけ効率よく、また漢字練習が好きになるようにと思い、ご説明させていただきました。少しでもお役に立てれば幸いです。