よく成功を収めた人から「本の虫だった時代がある」というお話しを聞きます。インターネットでなんでも調べられる時代ですが、内容の密度を考えれば「本」という情報源がこれからも重宝されることは間違いありません(電子書籍を含みます)。わが子を本好きにしておくことはその子の人生を左右する大きなポイントの一つです。本日は「子どもが本を好きになるポイント」について、子どもの成長過程ごとに解説いたします。
幼児期(3~9歳) 読み聞かせの「成功」
子どもが幼いころ、親ができることは何といっても「読み聞かせ」です。読み聞かせは子どもが本という物体を好きになる第一歩目です。誰しも親に本を読んでもらった記憶をがあるのではないでしょうか?お母さん、お父さんの膝の上に乗って、本をめくってもらうワクワク感は親子の良いコミュニケーションでもあります。お子様の成長段階や読書の目的にもよりますが、今回は「本を好きになる」という点で以下のようなことがオススメです。
① 目線を合わせて感想を語り合う
これはディベートのような難しいことではありません。「あ!ここに虫が書いてあるよ」みたいな本を通しての発見を伝えてあげるといいと思います。すると子どもからも「ここには木の実があるよ!」と返してくれるはず。そうやって本を味わっていくとその本の価値が自然と高まります。保護者の方へのアドバイスとして、どこまで目線を子どもに合わせられるかということ。大人にとっては当たり前でも子どもにとっては新鮮、そういうことありますよね。しかし、その目線が低すぎてもダメです。子どもって、思ったよりも成長が早いですよね。低すぎず、高すぎず、お子様のことをよく見つめて、その視線の高さを探してみてください。
② 寝る前に本を読むというルーティン作り
「寝る前に読む」の良さは「寝るタイミングになったら1冊は本を読む」というルール自体にあります。毎日忙しく働いている保護者の方々、お父さんは帰りが遅い、お母さんは家事に追われていますよね(現代はお父さんが家事、お母さんが仕事もあるのかな)。そういった中で「本を読んであげたいけど忙しくて読んであげられなかった…」という思いがある方もいるのではないでしょうか?(そういった方は自分のケアもしてくださいね!)寝る時間になったら本を読む、読み聞かせと一日のスケジュールを紐づけしておくことはルーティンを作る要因になります。繰り返し続けることが子どもが本を好きになる要因になります。
幼児期(6歳) 文字が読めるというプライドで本を読む
ある年長の女の子の事例をご紹介します。
まず前提として年長さんくらいの歳の子ならば、まだ文字を読めないという子もいるのが当たり前の年齢です。ある日の授業で、6歳になったばかりのある女の子が「私はお家で本を読んでいるの」と教えてくれました。そのとき周りにいた大人たちが「すごいね!」「もう本を読めるんだ!」とはやし立てました。するとその女の子はその日から本を読み続け、翌週また私に「私は○○って本を読んだの」と教えてくれ、それが何週か続きました。簡単に言えば、「承認欲求を刺激された」ということです。現代はこの承認欲求というものの弊害のような話もありますが、「褒められて嬉しい」ということが読書の「きっかけ」になってもいいと私は思います。読書にはそれだけの魅力がありますので、読み続けるレールを作ってあげれば子どもが本を好きになる可能性はかなり高いです。もう少しだけ解説をすると「6歳という年齢」もポイントの一つです。12歳の子に「文字が読めるのがすごいよね」と言えば「馬鹿にしているのか」となりますよね。褒めるポイントは「ちょうどよさ」です。お子様にレベル感の良い声かけをしてあげてくださいね。
小学生(7歳~12歳) 読書ページ数の記録をつける
私も子どもたちを教える立場なのですが、保護者の方には子どもが読んだ本のページ数を記録していくことをオススメしています。ページ数が増えていくことに楽しみを見出す子がいるからです。それは私たち大人でいえば預金残高が増えていくような喜びです。(ちなみに少し前の私はイチロー選手がヒットを打つごとにとても喜びを感じていました笑)人間は何かが進んでいる、成長していると感じることが好きなのです。保護者の方はお子様のために読書カードを作ってあげてみてください。カードを作ってあげることでお子様の記入が楽になり、習慣化します。読書カードは必ず今までの累計がわかるようにしておいてくださいね。「やった1000ページ超えたぞ!」という気持ちが推進力になり、また新しい本に手が伸びます。
思春期(12歳以降) 名作に出合うための親の仕掛け
「良い本に出合うこと」以上に本が好きになることはありませんよね。(そんな当たり前のことを、と思わずもう少しお付き合いください)良い本に出合うことは「本好きの人生になれるかどうか」の最後のピリオドです。だからこそ親としては「この本を読みなさい!」なんてことを言いがちです。しかし皆さんの体験として、無理強いされたものってなんだか嫌だなと思ったことありませんか。読まない本のほとんどは誰かからもらった本のはずです。名作に出合うポイントは「子ども自身が選んだ本」だということです。定期的に家族で図書館や本屋さんに足を運び、そのとき親は口出ししない。逆説的に感じる親の行動が子どもが本を好きになるポイントです。
どうしても勧めたい本があるお父さんお母さんへ
しかし、「どうしてもこの本を読んでほしんだ」という方もいるかもしれません。そんなときは以前あるお母さんから聞いたこんな方法があります。親子で本屋に行くとき、2冊の本を買います。1冊は子ども自身が選んだ本、もう1冊は親がお勧めの本。抱き合わせで2冊の方を購入していたそうです。するとその子もお母さんから勧められた本を読んだということでした。読んでほしい本があるときはあの手この手と考えなけばなりません。お子様がもらって嬉しい作戦を考えてみてくださいね。
全ての時代を通して 親が本を読む姿を見せる
子どもが本好きになる一番の要因は親が本を好きかどうかです。その背中を見せておくことが一番効果があることです。これを読んでいただいてる保護者の方、お子様と一緒に本屋さんや図書館に行きましょう!ディズニーランドもいいですが、図書館に行くことだってお子様の大切な思い出になりますよ。
私の読書体験
私の読書体験もご紹介します。(ここ読み飛ばしてもいいところです笑)私の母が宮部みゆきさんの小説が好きで、そのおかげで私も読書をするようになりました。本棚には宮部さんの小説が並んでいて、すぐに手の届くところにありました。最初に宮部さんの本を読んだのは中学生の時で『東京下町殺人暮色』という文庫本でした。なぜそれを選んだかということも明確に覚えていて、それは本棚の中では一番薄い本だったからです笑。宮部さんの小説は高校生、大学生だった当時の私にうまくハマりました。『竜は眠る』のワクワクは新鮮でしたし、『火車』は最後本当に心臓の音が聞こえるくらいドキドキしました。「私は読書家だ!」と言えるほど今は本を読めていないですが…、少なからず本を読めるようになったのは宮部みゆきさんのおかげです。もっというと宮部みゆきさんが好きだった母のおかげです。母ちゃん、ありがとう!
まとめ
今回は「子どもを本好きにするには」というテーマでお話しさせていただきました。それぞれの子供の成長過程ごとに分けてお話ししています。
幼児期(3歳~9歳) :読み聞かせの成功 ①本を通しての会話②読み聞かせのルーティン化幼児期(6歳) :文字が読めるというプライドを刺激する
小学生(7歳~12歳) :読書ページの記録をつける
思春期(12歳以降) :自分で名作を見つける体験
全ての時代を通して :親が本を読む姿を見せる
いろいろとお話しさせていただきましたが、読書はなにより楽しむことが大事です。当たり前のことのようで親になるとそれを忘れ、子どもに読書を強要してしまい、読書をつまらないものにしてしまうところも見てきました。学力云々はいったん忘れて読書に没頭してくださいね!