「うちの子には中学受験をさせるべきか」と保護者が考え出すのが一番多い時期が小学3年生です。小学3年生は特に進路のターニングポイントになる学年と言えるでしょう。4年生に上がったタイミングで進学塾に切り替える方が多く、子どもたちに大きな変化がもたらされる時期です。中学受験を考えるときに、「うちの子は受験なんてできるのかしら?」と不安に思う方も少なくないはず。本日は小学校3年生までに身につけておきたいことというテーマでお話しいたします。
うちの子は受験に向いているの?
こういった疑問を持たれている保護者の方は多いはず。
私の実感でお伝えすると「中学受験に向いている」といえる子は10人に1人くらいです。
現行の中学受験という制度を考えた時に、まだまだ小学生には早すぎる制度だと、私個人は感じています。人間の成長には個人差があります。それを否定することはできませんし、中学受験がすべてではありません。しっかりと力をつけて高校受験にチャレンジするという選択肢は悪いことではないと私は思います。
しかし、じゃあ適性がないから中学受験をしてはいけないかというとそんなことはありません。
受験するかしないかは、何より覚悟が必要です。
中学受験は「家族の受験」と言われることがありますが、家族一丸となって挑むことで大きな成果を得たご家庭はたくさんあります。早熟型、晩成型、人の成長はそれぞれですが、そういった向き不向きよりも、意思の力が何より大事です。それはお子様だけではなく、これを読んでいただいている保護者の方もそれなりの覚悟が必要です。あなたは本当に中学受験に向かう2、3年間、わが子に協力することができますか?家族の受験とは親の覚悟も試されているということです。
中学受験をするということを強く決められているご家庭の方は、そこに向かって準備をしておくことも大事なポイントです。今、お子様が小学校低学年の保護者の方のためにそのポイントをいくつかあげさせていただきます。これからご紹介するものは基本的なことですが、全てをクリアしている子というのはなかなかいないものです。
小学3年生までに身につけておきたい力
話を聞く姿勢を作る
難関中学の受験問題は、大人でも解けない問題ばかりです。必ず自力では解けない時期はやってきます。そういった問題にぶち当たるのは早くて4年生の初め、遅くとも5年生までには一度は一日考えても解けない問題に出くわすはずです。特に算数は「地頭」ともいうべきセンスを問われることが多分にあります。そういった問題は類題を解く中で、アイディアがたまり、取捨選択ができ、解けるようになってきます。そういった高学年の時代までに習得しておきたいことが、話を聞く姿勢です。話をしっかりと聞けているかどうかという点では以下の項目があげられます。
・先生が話をしているときは先生の方を向いて話を聞いているか?
・極端に体の姿勢が崩れることはないか?
・先生の話を最後まで黙って聞いていられるか?
・会話のキャッチボールはできているか?
小学1年生ならば一つもできていない子もけっこういるはず。小学3年生までに身についていれば、十分だと思います。
家庭学習を習慣にしておく
これも当然のことですが、ここでいう家庭学習の基準は
「毎日10分以上お家で集中して勉強している」としたいと思います。
「毎日」とは土日も含めてのことです。
「10分以上」としましたが、例えば「必ずドリル1ページは解いている」など、継続して行っている課題があればよいと思います。10分はそれほど長い時間ではありませんが、低学年までは1回の勉強時間はそれほど長くなくても大丈夫です。
「お家で」というのもポイント。大人でもそうですが、集中できないから家では仕事をしないという方も少なくないと思います。子どもも「学校では集中しているのに家では全然」ということがとても多いのです。やはり誘惑の多い家の中は勉強しにくい環境なのです。大人ならばそれでもいいかもしれませんが、中学受験を目指すならば家で当たり前に勉強できるという習慣を作っていなければなりません。
「集中して」ということもポイントとしました。よくあるのが、「うちの子は1問解くのに1時間かかることがあります」というようなこと。本当に難しい問題を解いているのだとしても、小学校低学年ならばそれは良いことだとは言えませんし、進まないのはおそらく気持ちが乗っていないだけです。そういったときは少し体を動かすなど、集中を切り替えることが大事です。短い時間でもよいのですが、この時代は量よりも質にこだわった取り組みができているかということを見てあげてください。目標は歯磨きをするかのように家庭学習が当た前になっているということです。
漢字練習を行っている
男の子に多いのが、「うちの子は算数は好きなんだけど、漢字は全くやらないんです」という話。漢字練習は忍耐力が問われるもの、コツコツとした努力ができるかどうかがここでわかってしまいます。私は学習塾で子どもたちのことを見ていますが、後伸びする子は毎回漢字テストで高い点数を取ることができています。上記で述べた家庭学習の中に漢字を組み込んでおくことをお勧めします。
忘れ物をしない
これも幼い子どもたちにとって得意なことではありません。忘れ物をしないということは先のことを見通せるようになっているということです。毎日丁寧にカバンの中を見るという習慣があることは、学力にもつながっていると感じています。特に進学塾に入った際に宿題や持ち物がわからないようでは、集中した学習ができません。しかし、当たり前のようで大人でも忘れ物をすることがあるのですから、習慣を身につけることは簡単なことではないのです。
まとめ
今回は「小学校3年生までに身につけておきたいこと」をご紹介いたしました。
・話を聞く姿勢を作る
・家庭学習を習慣にしておく
・漢字練習を行っている
・忘れ物をしない
上記のことは当たり前のようで、全て完璧という子はまずいません。そしてここで挙げている4点はもともと備わっている才能ではなく、身につけることができる能力、もっと言えば努力して身につけることなのです。
では、どうしたらこれらの力をつけることができるか、それはまた別の機会にまとめたいと思います。